境界性パーソナリティ障害〜いわゆる「ボーダー」〜
一言で言うと「不安定」
自己・対人関係・感情において不安定であり,対象との関係性をどうにかして維持するためにリストカット,過食,大量服薬,性的逸脱行為などを繰り返し,相手にしがみつこうとする.
◯ 症状
- 抑うつ
- イライラ
- 見捨てられ不安
- 慢性的な空虚感
- 対象に対する「理想化」と「こき下ろし」:2値化
- めまぐるしい感情の変化
- 一時的な精神病様状態
◯ 原因
- 人格の成長が不十分:幼児期からの歪んだ親子関係により人格成長が十分なされず,幼児心性のまま大人社会での生活を強いられている.
- 家族の機能不全:母親との激しい葛藤,父親の不関与.両親の不和.幼少期における両親との死別など
◯ 治療
精神療法
- 患者が治療者に抱く情愛=陽性転移に注意
- 陽性転移が満たされない場合は治療者に対する憎悪を抱く=陰性転移
- 治療の構造化:面接時間の設定・不要な時間外受診をさせない・入院の場合は病棟におけるルールを守らせる,など.これらの構造化設定を患者は壊そうとしてくることがあるが,治療者は容易にそれに応じないことが肝要.
- 自己破壊衝動に対する対応:自己破壊衝動が繰り返される場合は治療の対象にならないことを患者に伝え,場合によっては治療を中止するの選択肢の1つ.
- ボーダーラインシフト:患者に何かしてあげてはならない.医師の指示以外のことをしない.患者の話を真に受けない.患者が起こしたことは患者自身に引き受けさせる.大丈夫と言ってあげる.情報の交換.患者の衝動的行動(自殺企図など)に対したじろがない.待つこと,我慢させること.
- 弁証法的行動療法:感情のコントロール・健康な対人関係の構築・苦悩に対する忍耐などが欠けていることを患者本人に理解させ,自身の感情・行動を観察させる.